幼い頃からデレク・ジーターに憧れ、野球に打ち込む日々を送っていたベラスケス。
しかし、薬物依存が深刻な問題となっているブロンクス地区で育ち、周囲には“不良”
が多かった。14歳の頃、ベラスケスも周りに感化されて無断で野球の練習を休んだ
こともあったという。

しかし、そんな彼を導いてくれる人がいた。ニューヨーク市警で働き、覆面麻薬捜査官
も担っていた父だ。父はベラスケスに「お前が今、つるんでいる奴らは良くない。関係
をきっぱり辞めるべきだ。そして、自分が将来何をやりたいのかをしっかり決めろ」と
語りかけた。

この言葉がきっかけで目が覚めたベラスケスは、その情熱をすべて野球に注ぎ込む
ことになった。当時を述懐し、「僕にはドラッグに手を出した友人がいる。そして、薬物
絡みで死んだ奴らもいる。もしかしたら、僕もその道に入っていたかもしれないけど、
親父がすぐに気づいてくれたんだ」と語っている。

5月29日の試合前、エンジェルスナインはお揃いのTシャツを着ていた。そこには
こう書いてある。

「地球の70%は海で覆われている。そして、残りは“スカッド”(ベラスケスの
ニックネーム)がカバーしている」

チームメイトに愛され、そして圧倒的な守備力で信頼を勝ち取っているからこその
フレーズ。

またニューヨーク遠征ではチーム内に「ベラスケスのような服装をしてくること」と
お達しが出され、それぞれが「ベラスケス風ファッション」で集まった。