甲斐拓也

雁の巣が、自分を強くしてくれました。
今、3軍でも、何でもやってくれる。僕からしたら、こんな環境だと、ここでいいわ、と思う選手もいると思いますよ。最初、僕らは、西戸崎で練習ですよ。寮の前の、あの小さいスペース。とてもじゃないけど、キツかった。
もちろん、筑後が悪いとか言うわけじゃないですよ。
環境は最高です。これ以上ない環境です。うまくなる環境として、最高ですよ。雁の巣は苦しかったけど、今思えば、野球の神様はいたなと思います。キツい思いして、よかったんです。今だから、思えます。環境がイコールじゃないけど、野球の神様はいます。だから、僕はキャッチャーの道具を毎日、きれいに磨いているんです。キツいことをやって、野球の神様がいるなら、どこかでチャンスがあると信じていました。
俺がクビになって、山下が輝いたら、野球の神様は、おらんな……と。
今思えば、やってきてよかったなと思います。
最初は「育成だったから」と見られるのがイヤで、うまくいかなくても「やっぱりな」と思われるのがイヤだった。その差を埋めるために練習しました。そう見られないように。
「育成だからな」と、失敗したら、そういう目で見られると悔しいですから。