九州大学(九大)は6月2日、ひきこもり者(6か月以上自宅にとどまり続ける社会的ひきこもり状況にある状態)の血液中の代謝物や脂質の測定により、ひきこもり者に特徴的な血液バイオマーカーを発見したことを発表した。

日本における「ひきこもり者」の数は100万人を超えているとされるほか、海外でもひきこもり者の存在が示唆されるようになっており、コロナ禍において今後世界的な流行が懸念され、「Hikikomori」への世界規模の対策が望まれるようになってきているという。

研究チームはひきこもり研究外来を立ち上げ、すでにひきこもりに関する国際的な診断評価法を確立してきたほか、質量分析による血しょうメタボローム解析を駆使することにより、血液中のいくつかの代謝物がうつ病の判別や重症度に関連していることを報告し、客観的指標としての血液解析法を確立してきた。

そこで今回の研究では、ひきこもり研究外来において未服薬のひきこもり者41名と年齢・性別をマッチさせた健常者42名を対象に血液メタボローム解析を実施し、ひきこもり者を特徴づける血中成分(バイオマーカー)を探索することにしたという。

その結果、ビリルビン、アルギニン、オルニチン、アシルカルニチンがひきこもり者で変化していることが判明したとするほか、男性では血清アルギナーゼが高値であることも確認されたとする。

また、血液成分と臨床検査値を加えた情報に基づいた機械学習判別モデル(ランダムフォレストモデル)を作成。ひきこもり者と健常者を高い精度で識別できることが示されたともする。