https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S13499086.html
あの夏 佐賀北×広陵
この試合で球審だった桂は、のちに広陵の野村と電話で話をしたことがある。野村が明大4年生の初冬。ドラフト会議で広島から1位指名を受けてすぐのころだ。
明大OBの審判仲間から電話がかかってきて、「桂さんと話したいという男がいる」という。代わって出てきたのが野村だった。
八回の押し出し四球の話題になった。「野村、どや、お前はあのボールをどう思うとんや」。桂は関大出身だ。「はい、あれはストライクです」といわれ、「そんでええねん。おれは死ぬまでボールやというからな」と返した、という
。「野球はそういうもんや」といった話をしたと記憶している。
翌年の選抜大会のとき、その審判仲間を通じ、野村からサイン色紙が届いた。それを受け取って、桂は感じた。野村は野球をやる上でかけがえのないものを学んだと思ってくれているに違いない、と。「
審判をやっててよかった。選手がどう思い、どう歩んでくれるか。それが大切やと思う」