一方で、馬房での旋回癖は続いていました。緊張すると左へぐるぐる回り始めます。畳やタイヤをつるしても、体が柔らかく小さいので、馬房の半分のスペースでも回っていました。

最もひどかったのが毎日王冠の時です。レース前日の夕方に加茂さんから「馬房で回って止まりません」と電話がありました。急いで駆けつけると、レース後のように汗びっしょりでした。洗い場につないだり、引き運動をしたりして、やっと落ち着きました。あの時は無敗のエルコンドルパサーやグラスワンダーが相手でしたが、こちらも連勝中で負けられませんでした。「大丈夫かな」と心配したものです。

私たちが目指していたのは「優れたスピードを持続できる種牡馬」でした。近代競馬で求められるスピードをどこまで持続できるか? マイルまではできても、2000メートルとなると難しくなります。それができれば種牡馬として最高です。その資質を証明するレースとして天皇賞・秋を設定し、最大の目標としていました。その後は米国遠征やジャパンCも視野には入れていましたが、はっきりとは決めずに「天皇賞が終わってから考えよう」という方針でした。


ススズってガイジなんか