ジャイアンの声優もジャイアン役に受かって苦労もしたんや


――『輪るピングドラム』の放送から10年が経ち、このたび劇場版が上映されます。この作品は木村さんにとってどんな作品ですか? 

2005年に声優デビューして以来、初めてジャイアン以外を演じたのがこの『輪るピングドラム』の高倉冠葉だったんですよ。僕はひょんなことから声優になったので、スキルはゼロ。
そんな状態で長い歴史を持つ『ドラえもん』という作品のジャイアンを演じることになり、最初の頃はとにかくジャイアンをやるためだけに頭を使ってたんですよね。
そういう6年間を過ごしていたので、良く言えばジャイアンになりきってるし、悪く言えばジャイアンでしかない。
そんな時、『輪るピングドラム』のオーディションで、幾原監督に「君ほどへたくそな人に会ったことがない」と言われまして。でも、いい声をしてると。「芝居は練習すればできるとして、お兄ちゃん役はできる?」と聞かれて「できます!」と即答したら、高倉冠葉役に決まって、それから、1話のアフレコまでの3か月間、毎日のように幾原監督が練習に付き合ってくれました。
今でこそいろんなキャラクターを演じさせていただくようになりましたけど、そのルーツが『輪るピングドラム』であり、僕の原点ですね。