大学生になってからも、森下のことを“本気”で叱ってくれた男がもう一人いた。中大の2学年先輩に当たる牧秀悟内野手だった。2年生の春のリーグ戦前のことだった。森下は試合中のベンチで、卑屈な言動があったことへの注意を受けた。

 硬式野球部のグラウンドの一室にある「放送室」という部屋に呼ばれた。10分間、緊迫した状況が続いた。いつもは柔和な先輩がいつもと違うことは容易に想像ができた。