北所オーナーと山田くんのエピソード



師匠に連れられてすぐに北海道にいるオーナーの下へ謝罪に行った。
 「北所(直人)オーナーに殴られても仕方ないという覚悟で行ったのですが『これからもまた乗せるから、頑張れ!!』と励まされてしまいました」山田は必死に溢れそうになる涙を堪えた。

 その後、騎乗停止期間は3ケ月と決定した。1年と言われても仕方ないと考えていた山田は、後に高市の口から思わぬ事実を耳にした。
 「高市先生から『3ケ月で済んだのは北所オーナーがJRAに寛大な判定をとお願いしてくれたからだぞ』と教えていただきました」

北海道シリーズ参戦は、「ペイシャ」の冠名で知られる北所直人オーナーから昨年、声をかけられた。
18年10月の新潟では騎乗中に距離を誤認。3カ月の騎乗停止処分を受けた。その時に乗っていたのが北所オーナーが馬主のペイシャエリート。それでも同オーナーは、山田騎手を所有馬に乗せ続ける心の広さがある。
先週、同騎手は電話を受けた。「着飾るなよ。勝っていても周りは見ているのだから天狗(てんぐ)になるなと、言われました」。常に気にかけられている。「お世話になりっぱなしです」と感謝した。