クラタス

何度やり直しても必ず住所が漏れる
恵太郎は絶望していた
何故あの時に躊躇しなかったのか
何故ちゅちょってしまったのか
侮辱罪が厳罰化されようと、誹謗中傷は止まらない
恵太郎は今日も“あの日”を繰り返す
いつしか精神は限界を迎え、一つの答えに辿り着く
恵太郎への誹謗中傷が止まった
“消えた”と表現する方が正しいかもしれない
彼は過去の自分を前に躊躇しなかった
掌に滲んだ自分の血が、虚な目を鮮やかにする
恵太郎はついにクラタスの軛から解放された