――課題を一つクリアしたら次のステップに進んでいるように見えた

 亀井コーチ 本当にそんな感じですよ。いろいろ僕の引き出しがある中で(一度に)全部言っちゃうとたぶん無理だと思ったから。何項目かあった中で一個ずつやって、また最初に戻ってあげて。できていなかったら、また最初からやってみたり。投げる感覚と足の使い方、そこらへんは順番にやっていったんです。まずは僕は一番足の使い方だったんですけど。体も横振りだったし、縦振りにしてあげるとか。

 ――進むだけでなく戻る意味は

 亀井コーチ 本当は僕も次に行きたいんですよ。だけど、本当に直すんだったら戻ってあげないと。そこが基本になるから。そこをできるまでやらないと、次のステップに行けないなと思っていたので。

 ――その甲斐あって見違えるように変わった

 亀井コーチ〝僕の中では〟ですけど。実際のプロ野球選手の一軍の守備かと言ったら、まだまだじゃないですか。みんなね、彼に対して見る目が優しくなっているんですよ(笑い)。『良くなったな、良くなったな』って言ってくれるんですけど。ある程度の平均的な守備をやらなきゃいけないわけで。僕自身も学びながら。

 ――14日の練習では、ブルペンのマウンドから投げさせた。どんな狙いがあったのか

 亀井コーチ もともとやろうと思っていたんですけど、シーズン中はなかなかできないので。今日はちょっと多めに投げて体を張らせたかった。投げる筋肉を呼び戻したかったんですよね。彼は(投げることが)不安なので、加減しながらしか投げないんですよ。でも、ブルペンに入るとみんな力が入る。それをちょっとうまく利用して力を入れて投げさせて。ブルペンに入って投げると、肩も広背筋も張ってくるんですよね。「この筋肉を使うんだよ」って教えたかった。それを覚えてほしかったんです。

 ――最後のほうは制球もまばらに

 亀井コーチ あれはもう僕の狙い通りなんですよ。疲れてきて体のバランスが崩れちゃうと、投げられなくなるんです。筋肉の持久力がないからコントロールできない。だから体のバランスも大事だし、筋肉もしっかりと。実際、試合になったら力を入れる。あと彼はスライダー回転なので、フォーシーム=縦回転にするには投げるにはどうすればいいかを考えさせて。彼が「こういう感覚だ」と言ったら「その感覚を大事にしてください」と(伝えたい)。僕の感覚より、ウォーカー自身の感覚が大事なので。

 ――まだまだ伸びる余地はありそうか

 亀井コーチ ここから伸びるかどうかは彼の意識の問題だと思います。今はある程度、見られるようになったじゃないですか。今がたぶんこういう(成長が横ばいな)状態なんですよ。これが長くなるとちょっと…。どこかでギアを上げないと。ここからさらに上に行くには、彼の意識が必要になってくるかな。あとは練習でちゃんと意識して、気持ちを入れてやってくれるかどうか。ここからが難しいです。

いいコーチや