五百年経って、天竺への旅の途中にたまたま通りかかった三蔵法師が五行山頂の呪符を剥はがして
悟空を解き放ってくれたとき、彼はまたワアワアと哭いた。今度のは嬉し涙であった。悟空が三蔵に
随がってはるばる天竺までついて行こうというのも、ただこの嬉しさありがたさからである。
実に純粋で、かつ、最も強烈な感謝であった。