なるほど、我々は師よりも腕力がある。多少の変化の術も心得ている。しかし、いったん己の位置の
悲劇性を悟ったが最後、金輪際、正しく美しい生活を真面目に続けていくことができないに違いない。
あの弱い師父の中にある・この貴い強さには、まったく驚嘆のほかはない。内なる貴さが外の弱さに
包まれているところに、師父の魅力があるのだと、俺は考える。