そして「世話の焼ける先生だ。」などとブツブツ言いながら、妖怪に捕えられた師父を救い出しに行くのだ。
「あぶなくて見ちゃいられない。どうして先生はああなんだろうなあ!」と言うとき、悟空はそれを弱きものへの
憐愍だと自惚れているらしいが、実は、悟空の師に対する気持の中に、生き物のすべてがもつ・優者に対する
本能的な畏敬、美と貴さへの憧憬がたぶんに加わっていることを、彼はみずから知らぬのである。