ノムさんの矢野評当たってておもろいな

 阪神の矢野には捕手出身という大きな武器がある。日本一になった監督には捕手出身が多いでしょう。上田利治、森祇晶、野村克也……、まあ田淵幸一と大矢明彦がぶち壊してしまったが(笑)、矢野はいい監督になる要素があるね。
 捕手は試合で監督以上のことをやっている。筋書きがないドラマと言われる野球の筋を書いているのが捕手。データを駆使し、打者の見逃し方やスイングを観察し、洞察し、判断し、決断するという作業を1球ごとにやっています。だから監督になると、その経験がベースとなって采配を振るう。あとは人間的な部分で選手からどれだけ慕われるかです。

 ただ、矢野には気になるところもある。天才的な選手だった監督によくある欠点は、自分が天才だから野球に哲学がなく、監督になっても目の前の試合に一喜一憂してしまうこと。味方がホームランを打つと真っ先にベンチを飛び出してくるとかね。それと同じことをやっているのが矢野だ。試合中に白い歯を見せ、選手と一緒になってバンザイする。そんなところで選手と一体感を持ったところで、本当の信頼は得られません。
 逆転すれば監督として「よし」とは思うが、むしろ「このあとどう守るか」と先のことが気になるはず。喜ぶのはゲームセットの声を聞いた時で、それまでは喜んでなんかおれないのが監督というものなんです。
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