「ウチは絶対にデビューを急ぎません。2歳や3歳より、古馬になってから走る育成を心がけています。特にダービーまでは無理をさせたくありませんので、だからタイトルホルダーの3歳時についても『弥生賞を勝ったのは誤算だった』って、ずっと言ってきたんです。

 あの馬は、本当に早い段階から、抜群の心肺機能の持ち主だとわかりました。普通の馬が坂路を早めに2本行ったりしたら、お腹でガバガバ息をして、倒れそうになってしまうんですけど、タイトルホルダーは3本やってもまるで平気でした。この馬は桁が違うぞ、と皆が思い始めて、そのうちに『菊花賞、春の天皇賞春を勝つ! 』と話が盛り上がっていったんです。

 なので、菊花賞に備えてじっくりやっていこう、皐月賞もダービーも使わなくてかまわない、と考えていたんですけども、『弥生賞馬が皐月賞に出ないのか』という話になってしまって、なら仕方がない、使うか、で出してみたところ、2着に頑張りました。

 その後のダービーも、本当は回避したかったんですけども、『皐月賞2着馬がダービーに出ないのか』とまたなってしまって、結局はダービーも使うことになりました。春のクラシックへの出走に関しては、私としてはまったく本意ではなかったのです。
そんな方針で馬を育てていますので、明け4歳を迎えたタイトルホルダーが強い競馬をしてくれるのは本当に嬉しいんです。