これは「トミー・ジョン手術を受けた投手は球速が増す」という俗説が広まったことによる。実際に術後に2mphから4mph(約3km/hから6km/h)ほど球速が上がった例は数多く[3][14]、前述の“The American Journal of Sports Medicine”の調査によると手術前の2年と手術後の2年を比較した場合、手術後の方が防御率が良くなっているというデータもある。しかし、2013年の米セイバーメトリクス会議で発表されたデータでは、2007年から2011年にTJ手術を受けた44投手の手術前後のPITCHf/xの測定による平均球速は、術後0.875mph(約1.4km/h)の低下が示された[2]。2014年にアメリカスポーツ医学研究所(ASMI)が2007年から2012年の投手を対象にした調査でも0.79mph(約1.2km/h)の低下が示され、球速が増した例は手術経験者全体からすると少数派となっている[2]。球速が増した理由については、手術そのものの効果ではなく、リハビリテーションにより下半身が鍛えられたり、投球フォームが改善されたことによるとされている[2]。