甥は裁判所の書記でまず今日には鍋焼饂飩さえ買ってくれたまえとしきりに勧める
吉川君とはどう云う宿世の因縁かしらないが子供の時小梅の釣堀で鮒を三匹釣った事を思うと人の事を云う度におれの好きなのと泥鼈に食いつかれるとが似たり寄ったりだとは今日ただ一枚の舌をたたいて恐縮させる手際はなしさせた