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「2カ月に一度の“布団交換”の日にだけ会えるんです」と徳山の母、利香さん(52)。

持参する品は事前申告制。子供たちは寮の電話で「徳山壮磨です! タオル、歯ブラシをお願いします!」という風にフルネーム、敬語で要望を伝え、ガチャリと切る。
部員たちが電話を順番待ちしているため、最低限の用件しか話せない。

最も辛いのは、入学直前の3月に入寮し、初めて再会するゴールデンウイーク明け。久しぶりに息子の顔を見て泣き出す親が続出する。「頑張るんやで」と別れを惜しむ姿は、“戦場”に送り出す兵士の親のようだ。

「私は笑顔で寮まで送った後、車の中で大泣きしました。子も親も苦しい思いがある。家から通っている子とは、生活環境が全然違う。絶対に負けられないんです」と利香さんは力を込めた。

センバツ決勝に続いて今大会準決勝でも撃破した履正社や大冠のような、自宅通学の学校に負けてなるものかとの執念が勝った。