■100点狙って0点なら意味ない
「時を積み重ねることは、現状が歴史を積み重ねていくことになります。四島には元島民のみなさんのお墓もあるが、
ロシア人の墓もあり、代を重ねていくわけです。そこで年を重ねて、例えばあと25年たつと、歴史のかなたに消えていく危険性が出てくるわけです。
だから、プーチン大統領が非常に大きな力を持っている時が、チャンスだと考えました」
 「外交において100点を狙って0点になるならば、何の意味もありません。『100点を狙いました』というのは言っただけに等しい。
たとえそれが歴史の正義であったとしてもです。であるならば到達点に、要するに合意に至れる、
ロシア側が考慮する可能性のあるものを投げかける必要があると考えました」

 ――ただ、プーチン氏は日ソ共同宣言について、島の主権の扱いが書いていないなどと微妙な言い方を続けてきました。

 「ただ、歯舞と色丹島の引き渡しについては宣言に書いてあります。
国後、択捉については書いてありません」

 ――プーチン氏は、引き渡すのが主権なのか、施政権なのか漁業権なのかも分からない曖昧な言い方をしています。
主権が引き渡されると認識していたのですか。

 「私は当然そう考えています。そうでないと交渉はありえません」

 ――その確証は。

 「これ以上は、会談のやりとりの中身に入ってくるので、申し上げることはできません」