わざわざ人の嫌がるようなことを云ったり、したりするんです。
そうでもしなければ苦しくってたまらないんです。
生きていられないのです。
僕の存在を人に認めさせる事が出来ないんです。
僕は無能です。
仕方がないからせめて人に嫌われてでもみようと思うのです。

夏目漱石『明暗』より