「今度のホンも《青》じゃない……!」
台本を受けとるたび、ボヤいていたキャストがひとり。
(誰とは言いませんが)
ドンブラザーズの台本の表紙は、毎回色がちがいます。
とくに意味はなくて、単に前後と区別つけるため。
複数の台本をかかえるスタッフが(準備中/撮影中/仕上げ中で3冊)、間違えないように。
黒→赤→黄色とか、なるべくパキッと違う色になっています。

とはいえ、少しは内容と関連した色にしたかったりするのが人情。
ドン4話『おにぎりのおに』のときはピンクとか、ドン5話『たてこもったイヌ』のときはブラックとか。
そうすると、キャストが毎回「今度は○色!!」と気にしてしまうのも、また人情かもしれませんね。
某青い人のアツは、やがて脚本の井上大先生の耳にも入り。
でも、
「『猿原編』とかやらんぞ」
と、にべもない大先生。
「猿原、男連中でいちばん出番多いんじゃないか? これ以上出番増やしてどうすんだ」
それで、この話はおしまい。
かと思いきや、
「でも……ホントは、猿原が『教授』って呼ばれて、相談ごとを引き受けてるってのは、事件を持ち込んでもらうためだったんだよな……」
と、大先生、にわかに反省の弁を述べはじめました。
猿原真一の設定は、《シロウト探偵》に近いもの。
これは、メンバー全員そうなってます。
桃井タロウは、配達先で──
鬼頭はるかは、学校 or 喫茶どんぶら or マンガかいわいで──
犬塚翼は逃げる先で──
雉野つよしは営業先で──
それぞれの場所で、いろんな人と出会い、事件に遭遇できる設定。
その中でも、いちばんザ・探偵に近いポジションなのが猿原真一。
「彼がホームズ役になり、はるかか誰かをワトソン役にして、持ち込まれた事件を解決……というお話を量産できる構造ですよね」
「そのつもりで、猿原とはるかを早めに接近させたりしたんだけど、今となってはその図式、ドンブラザーズに合わない気がするんだよ」
「予定調和を避けて、イバラの道を進みたいんですね? ただそれって、真一というキャラにあたえた最大の武器を封印しちゃうということ。それでも彼が持っている武器はなんなのか、あらためてさぐる必要があるのでは」
「やってみるか」