【世界陸上】女子マラソン一山麻緒に続き、新谷仁美も欠場 集団感染に3つの背景…担当記者が見た

192か国・地域から約2000人が参加する今大会。5か月前の北京五輪とは、感染防止策が大きく異なる。
〈1〉渡航 米国はワクチン2回以上の接種証明を提出すれば入国可能。
加えて世界陸連(WA)は出国24時間以内のPCR、または抗原検査を義務づけたが、現地到着後の検査はない。
北京では渡航前2度のPCR検査が課され、中国到着後すぐに空港でも検査を実施。
陰性確認までは公共交通機関を使えず、ホテルで自室待機を求められた。

〈2〉マスク 会場各所には「屋内では、マスク着用を奨励する」と掲示されているが、日本人を除けば着用率は10%にも満たない。
会場ではビールを片手に、陽気に盛り上がる観客の姿も多い。北京ではN95(医療用マスク)が義務。
ヒモの締め付けがきつく、耳がちぎれそうだった。今回は、ワクチン接種さえしていれば安全という空気が色濃い。

〈3〉検査 北京では、毎朝のPCR検査が義務だった。選手団の鎌田浩史ドクターは、今大会の検査について
「WAの規定はない。各チームが自主的に(選手の体調を)管理して気になる選手を連れていく形」と説明した。
もし抜き打ちや定期検査があれば、感染対策の意識はもっと向上したはずだ。

「海外の方はマスクをしない環境。ウイルスは多方面から来ている可能性が高い」と鎌田ドクターは見る。
日本陸連はWAに対し、現在は相部屋の選手宿舎を個室にする要望を出すなど、拡大食い止めに手を打った。
“ウィズ・コロナ”の今大会。いかに対策を徹底しても生まれる感染の連鎖を、一刻も早く止めるしかない。