シャトーAMEBAで迎えたチームエントリー戦、藤井猛の早投げ、森内の不調、先手で自身も負け、チームの雰囲気は最悪になっていた
「来年は内容変えるか」スタッフの溜息が聞こえる中、5連覇中のリーダー藤井聡太は一人通路で泣いていた
チームバナナ、チーム最年少+1で手に入れた栄冠、喜び、感動、何よりも信頼できるチームメイト
それを今のチームで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」聡太は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、聡太ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい床の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、部屋に戻って反省しなくちゃな」聡太は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、聡太はふと気付いた

「あれ・・・?渡辺名人がいる・・・?」
スタジオを覗いた聡太が目にしたのは、2年前のチーム渡辺所司一門だった
千切れそうなほどにうちわが振られ、地鳴りのようにコメントが届いていた
どういうことか分からずに呆然とする聡太の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「藤井さん、対局開始だ、早く行こう」声の方に振り返った聡太は目を疑った
「ま・・・増田さん?」 「なんだ藤井さん、居眠りでもしてたの?」
「た・・・高見さん?予選敗退したはず」 「なんだ聡太、かってに高見くんを敗退させやがって」
「永瀬さん・・・」  聡太は半分パニックになりながらスタジオのボードを見た
チーム永瀬バナナ 永瀬2冠、藤井七段、増田六段
暫時、唖然としていた聡太だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
伊藤匠から扇子を受け取り、スタジオへ全力疾走する聡太、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、自室で冷たくなっている藤井聡太が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った