大阪桐蔭、強さの秘密は過酷な寮生活 外出禁止、楽しみは月1の“コンビニ旅行”
https://www.zakzak.co.jp/spo/amp/170801/spo1708010003-a.html
 大冠を10−8で振り切った瞬間、大阪桐蔭のエース、徳山壮磨投手(3年)はガッツポーズ。9回に4点を奪われ2点差に迫られたが、“自宅通学のやつらには負けられない”の一念で甲子園への切符をもぎ取った。

 同校野球部は3年間寮生活。大阪府大東市の最寄り駅から車で約20分、携帯電話も“圏外”となる山奥に、寮と専用グラウンドがある。練習は週7日。携帯電話は所持も禁止。親と連絡を取ることはほとんどない。

 「2カ月に一度の“布団交換”の日にだけ会えるんです」と徳山の母、利香さん(52)。

 親たちはその日だけ、子供のために歯ブラシ、洗顔料など生活用品を寮へ持参。親子の外食も許可されるが、制限時間は2時間。「すしや焼き肉、子供たちが食べたいものを聞いて、親は店に予約を入れておくのです」(利香さん)

 持参する品は事前申告制。子供たちは寮の電話で「徳山壮磨です! タオル、歯ブラシをお願いします!」という風にフルネーム、敬語で要望を伝え、ガチャリと切る。部員たちが電話を順番待ちしているため、最低限の用件しか話せない。

 最も辛いのは、入学直前の3月に入寮し、初めて再会するゴールデンウイーク明け。久しぶりに息子の顔を見て泣き出す親が続出する。「頑張るんやで」と別れを惜しむ姿は、“戦場”に送り出す兵士の親のようだ。

 「私は笑顔で寮まで送った後、車の中で大泣きしました。子も親も苦しい思いがある。家から通っている子とは、生活環境が全然違う。絶対に負けられないんです」と利香さんは力を込めた。

 寮は外出禁止。楽しみは1カ月に1度の“コンビニ旅行”。寮長らの引率でバスに乗り、近場のコンビニや大型スーパーに出かける。1年は500円、2年は1000円、3年は1500円と予算が決められている。