普通鍋で煮るものと言ったら料理で、せいぜい消毒や染色のために布なんかが考えられるくらい
そんな中でわざわざ「何を煮ているか」なんて尋ねたら余計な深読みをする
そうしたとき、もし「葬式の際に死者の親族や村の女らが料理を作る」という「常識」を知っていれば、鍋では料理が煮炊きされていると考えるのは当然
しかし今の子らはそんな常識なんか知らないから料理と葬式は結びつかず、それはごんも同様だと思う
すなわち「大勢のひとが料理を作っていること」は「葬式が行われているとごんが気づくきっかけ」としては弱いと考える
そうすると、「死体が煮られているからごんは葬式だと気づいたんだ」という結論に達するのはそう不自然ではない