渋る球団側から、木下選手が倒れた際の時系列が記された資料を受け取ったのは、昨年10月のこと。そこにはこう記されていた。

〈11時07分頃:ナゴヤ球場屋内練習場内、トレーニングルームにてS&Cのスタッフが木下選手の異変に気が付く〉(注:S&Cは「プロ野球ストレングス&コンディショニング研究会」)

〈11時13分(発信履歴):トレーナーが119番へTEL、救急搬送の要請〉

 6分間のタイムラグ。さらに救急隊が到着したのは11時17分と、倒れてから10分が経過していた。救命の現場では、心拍再開が1分遅れるごとに、救命率が10%下がると言われている。だがスタッフがAEDを探しに行ったのは、搬送要請の後だった。