デビュー以来、後輩として公私で可愛がられてきた福永だが、騎乗について言葉で教わったことは一度もないと言う。

「自分が乗っていた馬を、その時のトップジョッキーに“取られる”というのは、みんなにある経験だと思います。
自分もお手馬が豊さんに乗り替わられて、一度言ったことがあるんですよ。
『なんで僕の馬まで取るんですか。そんなことしなくたって、いい馬にいっぱい乗ってるじゃないですか』って。しかも風呂場で(笑)。
すると『だったらお前が乗ればいい』と。僕はもうなにも言えなくなりました。

要は乗せる側が誰に乗ってほしいと思うかですから。つまり、選ばれる騎手になれっていうことなんです。
本人は覚えてないでしょうけど、ハッとしました。今思えば、馬を“取られた”と思うこと自体が間違ってるんですけど、若い時はそう思うんですよ。