>>181
鶴見俊輔

「言葉のお守り的使用法とは、擬似主張的使用法の一種であり、意味がよくわからずに言葉を使う習慣の一つである。軍隊、学校、公共団体に於ける訓示や挨拶の中には必ず之(これ)らの言葉が入っている。」

「大量のキャッチフレーズが国民に向かって繰り出され、こうして戦争に対する『熱狂的献身』と米英に対する『熱狂的憎悪』とが醸し出され、異常な行動形態に国民を導いた」

「政治家が意見を具体化して説明することなしに、お守り言葉をほどよくちりばめた演説や作文で人にうったえようとし、民衆が内容を冷静に検討することなしに、お守り言葉のつかいかたのたくみさに順応してゆく習慣がつづくかぎり、何年かの後にまた戦時とおなじようにうやむやな政治が復活する可能性がのこっている」