静岡など沿線10都府県で構成するリニア中央新幹線建設促進期成同盟会が、東海道新幹線の新駅として「静岡空港駅」新設を盛り込んだ国土交通省への提言をまとめる方向で調整していることが9日、関係者への取材で分かった。沿線自治体が静岡県の川勝平太知事の要望する新駅建設を後押しすることで、リニア静岡工区の着工を容認していない本県の意思決定に影響を及ぼす可能性も指摘されている。

東海道新幹線は静岡空港(静岡県牧之原市、島田市)の直下を走っており、川勝知事は平成22年頃から新幹線で空港新駅の設置を求めてきた。だが、JR東海は西に位置する掛川駅と約16キロしか離れておらず、運行効率などから難色を示してきた経緯がある。

期成同盟会はリニア全面開通後を見据えて既存の高速交通網である新幹線や空港、高速道路などの在り方、活用法などを検証する研究会を9日に設立。提唱した山梨県の長崎幸太郎知事は産経新聞の取材に「リニアの付加価値を高めるためにも東海道新幹線と空港の接続は当然。静岡県だけの課題ではなく、リニアと新幹線、空港をセットにして総合力を発揮するのは有効な手段だ。静岡空港駅の新設要望を視野に入れている」と静岡県を側面支援する意図を話した。

大井川の流量減少を懸念してリニア静岡工区の着工を認めていない川勝知事は、新幹線新駅の要望がJR東海との交渉手段と推測されることを「邪推」として、リニアの水問題と新駅要望との関連性を全面的に否定している。