長尾監督は浅野の性格について「気は優しく力持ちという(人気アニメ)ドカベンの歌にあるような、山田太郎のような子です」と説明する。
学校関係者やチーム内から聞こえてくる人物像や逸話もまた同じだ。「心優しい愛嬌のある高校生」
「嫌味のない、誰からも好かれる人間」。素の〝かわいい一面〟が人を引きつける理由だ。

 高松商では3年生になると「企業研究」という課題が出る。希望する職種や会社を広く理解するためのもので「ドラフト1位でのプロ入り」を目標に掲げる浅野は、もちろんプロ野球12球団を調査。
その志は良かったが、研究報告ではなぜかウキウキで担当教員に「ヤクルトはヤクルト飲み放題」「ロッテはお菓子食べ放題」という無邪気全開のレベルに終始。
課題の目的が、企業の理念や社会貢献活動といった本業以外の存在意義などを知ることだっただけに
「やっぱり浅野はかわいいなあ」と、ある意味〝期待を裏切らない報告〟に教員たちの間で平和な空気が流れたという。

 とにかく周囲からの信頼が厚い。ある学校関係者は「テストの点数が悪くて、長尾監督が『もう聞きたくないよ』と耳をふさいでも、浅野はサバを読まずに正確に報告するような生徒。
何にでも現実に目を背けず、逃げない人間」と評す。気がつけば周りに人が集まり、愛される存在だという。