明豊の監督元ローソン店長なんやな

「監督は人見知りの元ローソン店長」センバツ準優勝に導いた39歳のスゴい観察眼

結局、和歌山のスーパーチェーン「マツゲン」に入社し、地元クラブチーム箕島球友会でプレーを続ける。このスーパーでの経験が後の指導者人生の礎になる。

店舗では野菜担当。市場に行って買いつけたり、マイクを握ってお買い得品をアピールしたりした。陳列をする際、客の動線を研究し、どうやったら目に留めてもらえるかなども研究したという。周りを見て空気を察して状況を見極めるということにつながった。

その後、同県海南市の実家に戻って、親が経営していたコンビニのローソンの店長を務めることになる。この転職も人の上に立つための素養を磨く助けになる。

店長として何より苦労したのが「アルバイトの管理」だ。突然、休むバイトの処遇をどうするか。頭ごなしに叱責しては関係が気まずくなる。気持ちよく働いてもらい信頼関係を構築するための努力を惜しまなかった。今どきの若者との距離感のとり方やコミュニケーション術を学んだのだ。

店長を務めながら、中学生のコーチをしていると、智辯和歌山のコーチを頼まれる。母校の恩師、高嶋監督が「中学生を見てるなら、うちでやってみいひんか」と手を差し伸べる。
そこで3年間、のちにプロへ進む岡田俊哉(現中日)、西川遥輝(現楽天)らを育てた。コーチを終えてからコンビニに戻り、深夜業務もザラだったそうだ。