普通に監督で草

近江・山田陽翔ロングリリーフで決勝「ピッチャー、俺」“選手兼監督”としてアピール【高校野球】
7/27(水) 17:56
中日スポーツ

◇27日 全国高校野球選手権滋賀大会準決勝 近江6―5比叡山(マイネットスタジアム皇子山)

 まさに、グラウンド上の「監督」だった。近江・山田が、3回のピンチで大胆な行動に出た。

 3回に4点を勝ち越した直後、先発左腕・星野が3点を返され、外義にスイッチ。しかし、死球で無死一、三塁とピンチは続き、7番・高橋に1ボールとなった。ここで、右翼で出場していた山田が、ベンチの多賀章仁監督(62)へ合図を送った。「いけます」。球場中に聞こえる大きな声で「ピッチャー、俺」をアピールした。

 山田が今夏初登板した25日の準々決勝・伊吹戦後。多賀監督と今後の試合について話し合った。多賀監督は「残り2試合、おまえでいきたい」と準決勝、決勝の先発を打診したが、山田は「他の投手に任せることも大事」と考え「星野でお願いします」と訴えた。

 「(山田が)今は近江高校の監督ですから。(山田が言うことは)決定事項です」と多賀監督。“山田監督”の言う通り、星野を先発させたが、その背番号10が立ち上がりから不安定。「星野と言った自分にも責任がある」。山田はブルペンで一度も肩をつくることなくマウンドへ。高橋には中前同点打を許したものの、続く無死一、二塁は送りバントを素早く処理して1―5―3の併殺に仕留めた。十分な準備ができない中でも直球は最速147キロをマークし、7イニングを91球で3安打無失点。6回に奪った勝ち越し点を守り切った。

 山田の“好采配”もあり、3季連続の甲子園に王手をかけた。「受けたら足をすくわれる。チャレンジャーの気持ちで近江の野球をするだけ」。苦しんで勝った分、慢心もない。