>>251
今鉄球投げるアップ流行ってるんか?

1964年はプロ入り後初めて1勝も挙げられないシーズンとなった。以降、毎日走り続けたり、温泉でのリハビリを繰り返したりしたが、肩の痛みは一向に消えず、翌1965年の元日に半年ぶりにボールを握ってキャッチボールをするも、違和感が消えていなかったという。そのため、知人に頼んで硬球と同じ大きさの縫い目のついた鉄球を作ってもらい、それを投げるという荒療治を実行した。稲尾は後年にこの時のことについて、「どうしたら治るのか。素人の考えることは恐ろしい。(中略)ボールを投げて痛みがあるのなら、それ以上の痛みを与えれば、ボールを投げるくらいの痛さは気にならないのではないか、と思った。鉄球を投げて肩を悪くするかもしれないけど、何もしないで悪いままなら、やってみようと」と語っている。鉄球を投げてみると、あまりの激痛に涙が出たという。

その後も鉄球練習を続け、キャンプ中の2月15日、突然痛みが消えて投げられるようになった。稲尾は「突然、痛みが消えたんだ。慌ててブルペンで捕手を座らせて投げてみた。痛くない。信じられない気持ちでボールを投げたよ」と述べている。