春夏連続の甲子園出場を果たし、7日の初戦で勝利した近江(滋賀)の寮では昨年から、70代の夫婦が「祖父母代わり」になり選手らを支えている。夫の病気を機に、神戸から縁もゆかりも無い滋賀へ移住。選手たちとの思いがけない日々につながった。

 滋賀県彦根市の近江高校の敷地内にある「青和(せいわ)寮」で管理人を務めるのは、窪田温(たずね)さん(74)と妻の満智子さん(74)だ。
 寮には約50人の男子生徒が暮らす。このうち8割が野球部員。選手らは温さんを「窪田さん」「パパさん」、満智子さんを「満智さん」と呼ぶ。
 温さんはほぼ毎日寮に泊まり、満智子さんは近くの自宅から通う。寮で宅配便を受け取ったり、大浴場を掃除したりするほか、選手らの服を縫うこともある。

 「笑顔が一番大切」との考えから、風呂上がりにアイスクリームやかき氷を渡す日もつくった。選手らには「ここを家と思って、何も遠慮することないで。悩みがあったら言って」と伝えている。
 選手の中には、部活の悩みを相談したり、うれしいことやしんどいことを打ち明けたりする子もいる。控え投手の外義(そとぎ)来都(らいと)君は「明るくて、落ち込んで寮に帰っても笑顔で迎えてくれる。僕たちの目線で接してくれて、味方になってくれる」と話す。