キャストという「人」のプレゼンスが大きくモノを言うのが実写。
ただ、人は機械ではないので、いろんな事情が発生します。
健康の事情。
家庭の事情。
学校の事情。
スケジュールの事情……
スーパー戦隊シリーズの歴史上、やむにやまれぬ事情でキャストが降板したケースが何度もあります。
でも、なるべくはスタッフの知恵を結集して、そうならないよう努めます。
はなはだしくは、1話の撮影中に骨折入院したレッドの病室に押しかけ、寄り(アップ)を撮ってしのいだこともあったとか。
そんな努力を無効化してくれたのが、いわゆるコロナ禍。
2020年夏、ようやく撮影再開した『RI○ER TIME ジオ○VSディ○イド』一連。
出演予定だったキャストが、急遽出られなくなる事態が多発しました。
別仕事の共演者が陽性になり、キャストAに濃厚接触の疑いが出たとします。
保健所の判断がくだるまで、あるいは検査を受けて結果が出るまで出演できない(当時のガイドライン)。
それまでの2、3日、待てたらいいのですが、そうもいかないのが実写の現場。共演者にもロケ場所にも都合がある。
やっとキャストAへの対応を講じたと思ったら、今度はキャストBが……と、どんどん重なっていく。
どうする?
日々、状況に応じて台本を書き換えました。
当初の脚本とはストーリーの流れを変えたり、別キャストに交代してもらったり、あるいは役そのものをなくしたりしました。
撮影現場もたいへん。
「キャストAの検査結果が当日昼までに出たパターン/出なかった or 陽性だったパターン」とか、何パターンもの改訂台本を持たされて、どれが採用になるのかギリギリまでわからない……という状況が連日。
クランクアップ(撮影終了)したとき感じた喜びは、忘れがたいものがあります。
撮影できること、作品を完成させられること……それまで当然のように思っていたことごとが、いかに奇跡的なものだったか、突きつけられました。

えーと。
なぜドンブラザーズのページで、2年も前のラ○ダースピンオフの話を書いているのでしょう?
あれから丸2年経ち。
いろいろシステマティックになり、厳しくなった面もあります。
たとえば、当時は接触が疑われた瞬間に検査を受ければ許されたケースが、72時間経過後に検査を受け……とか。最短2日で済んだ待機期間が、最短5日に。