「足元を見失わないで」2015年準Vエース、佐藤世那さんエール
2022年8月22日 6:00

https://kahoku.news/articles/20220821khn000025.html

 2015年夏、優勝旗の白河の関越えが目前に迫っていた。決勝戦で東海大相模(神奈川)に敗れた時の仙台育英のエースで、元プロ野球オリックス選手の佐藤世那さん(25)=仙台市出身=は、自身が経験した悔しさを振り返る。プロ復帰を目指す佐藤さんは、後輩たちにエールを送る。

 6―6で迎えた九回、佐藤さんはエース小笠原慎之介選手(現中日)に決勝ソロを浴びた。前年夏、宮城大会4回戦で敗退した際も左打者に決勝本塁打を許した。佐々木順一朗監督(当時)からは「左の長打には気を付けろ」と口酸っぱく言われていた。

 「それが今なのか」。この一球を引きずり、九回だけで4失点。「本塁打の後、どう点を取られたのか思い出せない。1点差なら分からなかったのに」。つかみかけた大旗が一気に遠ざかった。

 甲子園球場は仙台育英を後押しする雰囲気に包まれていた。序盤にリードを許しながらも、味方の好守に救われ「流れが変わってきた」と実感した。最大4点差を六回に追い付いた。「優勝が近づいたと思ってしまった」。聖地の魔物は、心の隙を見逃してくれなかった。

 「あれだけ注目されていた。あのとき勝っていれば、という気持ちがないわけではない」。7年の時を経ても、なかなか心の整理はつかない。

 ただ、母校にこんなに早く再びチャンスが訪れるとは思っていなかった。「プレッシャーを感じるな、というのは無理。足元を見失わないよう、最後の甲子園を戦ってほしい」。当日は現地で観戦する予定だ。