病と向き合う「不屈の打者」仙台育英・岩崎 光る代打 夏の甲子園
2022/8/21 06:00(最終更新 8/21 14:39)

 岩崎選手は昨年6月、運動誘発ぜんそくを発症し、寮から自宅に戻った。四六時中嘔吐(おうと)を繰り返し、検査で逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアの診断も受けた。2カ月の療養。千春さんにつぶやいた。「野球できなくなるのかな」。中学1年時に世界少年野球大会(12歳以下)の日本代表に選ばれ優勝に貢献。そんな岩崎選手から初めて聞いた弱音だった。

 千春さんは表情から見てとった。「野球はやめたくない。体がしんどいのだ」。しかし「無理しなくていい、辞めたっていいんだよ」と言うことしかできなかった。

 昨年8月、寮に戻った。千春さんが送って行くと、寮生全員が出迎え、部屋のドアに「おかえり」と同期の仲間がリボンで作ったデコレーションが。温かさに千春さんの目は潤んだ。

 復帰しても最初は練習についていけなかったが、ここでも同期の仲間が見守った。寮監の杜(もり)秀介コーチ(24)が振り返る。「焦らないで、と励まし続け、徐々に明るさを取り戻した」