内海: カッとなって人を刺すバカが山ほどいるのに こんな遠回しなやり方で。気の弱い人間なのね 金森は。

湯川: そうかな。43回目でやっと成功。これは何を意味してると思う?

内海: だから 被害者が燃えたのは偶然だったんでしょ?

湯川: 違う。犯人も同じ数だけ失敗したってことだ。

内海: えっ?

湯川: 炭酸ガスレーザーの光を人に当てたらどうなるか。金属加工の専門家なら容易に想像できる。
それを 犯人は実行しようと考えた。しかし 簡単にはいかない。犯人は 試行錯誤し 失敗を検証し 挑戦を繰り返した。
犯人の頭の中には成功のイメージがある。レーザー光が人間に命中し その体が燃え上がる姿だ。
女の子が赤い糸を見たのは七夕の夜。つまり 犯人は 3か月以上前からレーザーの照射を始めた。
そして 僕と同じように 何度も失敗を繰り返し ついに成功した。つまり 42回の殺人未遂があったんだ。
この事件の犯人は 恐ろしく執念深く 残酷な人間だ。