踏み込んだシーンも描いた『FILM RED』。監督は原作サイドとどのようなやりとりを重ねたのか?

―原作とも密接に関連づけられた映画作品ですから、相当細かいやりとりや調整があったのだろうなと想像します。

谷口:基本的には「こういうかたちでいきたいんですけど」と提案したり、「だったらこういうのはどうだろう」「ぼくが好きなのはこっち」とかやりとりしたり、お互いで意見を出し合うスタイルで制作していきました。
尾田さんと話すときには、総合プロデューサーとしてなのか、原作者の立場としてなのかを私自身は意識して話していました。
たとえば、「どういうキャラクターなのか」という部分は原作者としてのアドバイスです。一方で、「(ある要素を)見せるのか見せないのか」に関しては総合プロデューサーとしての意見。

谷口:ただ私としては、スタッフを率いている映画をつくっている以上、「原作者だから言うことを全部聞く」ということはしないですね。それをやってしまうと、「原作者が撮りゃあいいじゃん」って話になりますから。
尾田さんがその距離感をきちんと理解してくれていて助かりました。

ーそうでないと谷口さんが監督する意味もなくなってしまいますもんね。

谷口:そういうやりとりはいっぱいあります。今回コロナ禍ということもあったから、尾田さんと直接会う機会はそんなに多かったわけではないんですけど、ZoomやLINEを使ってかなり密にやりとりはしましたね。

ーセリフの細かいニュアンス以外にはどういったことがありましたか?

谷口:たとえば色使いや振り付けなどもやりとりしています。