韓国統計庁のデータよると、15~29歳の失業率は2012年以降上昇し続けており、2020年には日本の2倍に値する9%だった。韓国のトップ4大卒業生の就職率は過去数年60~70%と、高学歴でも3~4割が職にあぶれる過酷な現状だ。

厚生省の報告書や現地の事情に詳しい人々の証言から判断する限り、総体的に就職口が不足しているというわけではない。金融危機(2008~2009年)以後に正規職が契約職に代替されたことに加え、「高スペック社会」が、就職難の要因として指摘されている。

格差社会の韓国で、一流企業に就職するのと中小企業に就職するのでは、その先の人生が180度違う。だから皆、必死に高学歴・高スキルを目指す。2020 年の大学進学率は98.45%と、アジア圏で断トツトップだ。

しかし、サムスンやヒュンダイを含む上位10社が国内の時価総額の半分を占める韓国において、高給高待遇の大手企業や公的機関への就職は極めて狭き門である。ロイターの報道によると、従業員数250人以上の企業に就職できるのは国の労働力の13%しかいない。また、2019年は大卒者約30万人に対し、大手・公的機関の就職口はその3分の1以下だった。

結果的に多数の若者が、学歴に見合わない低賃金職で身を粉にして働かざるを得ない。「だったら働かない方がマシ」とふてくされ、無職に甘んじる若者も少なくない。