中国の流れ弾食らってて草

そんな水没の危機と戦う沖ノ鳥島に新たな大波が押し寄せている。「そこで暮らせるの?」。EEZの維持に、酷な問いが突きつけられた。事態が急転したのは、南シナ海へ進出する中国にあらがうフィリピンの申し立てに対し、仲裁裁判所が16年7月に示した解釈だった。

島のような地形にEEZなどを際限なく設ければ混乱する。曖昧だった国連海洋法条約の条文について裁判所は、権利を持つのは居住または独自の経済生活ができる地形だとし、その内容に踏み込んだ。今思えば同条約は第121条で島や岩に等しく権利があるわけではないと匂わせていた。

沖ノ鳥島は「本籍地に選ぶ人もいる」(小笠原村役場)が無人だ。生活を重んじる裁判所の解釈がまかり通れば水没せずともEEZのために別の説明が要る。海上の小島を守り抜けば十分とする日本の立場は「議論の余地は残るが今後は厳しい」(西村弓東京大学教授)という見方が大勢だ。