デイリー新潮2022年08月28日
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/08280601/

「従業員の人員不足により、しばらくの間セルフレジは封鎖いたします」――とあるスーパーに張り出された紙がツイッターに投稿され、話題を呼んでいる。本来、人手不足を解消するために導入されたであろうセルフレジが、かえって人材不足を招いているとは、これいかに。真相を探ってみると――。

■本末転倒
 この張り紙の写真が投稿されたのは、8月24日(水)のこと。三重県にあるスーパー「バロー北浜田店」の店内に張り出されていたものだという。これには、“セルフレジの概念崩れる”“本末転倒甚だしい”といった声がネット上に次々に投稿された。また、セルフレジ導入で人材不足が起きた原因については、“万引き防止のためのレジ監視が増えたからではないか”という意見が多数を占めた。

 セルフレジが導入されたスーパーをよく利用する男性買い物客が言う。

「その店には計6台のセルフレジがあるのですが、“バーコードを読み取らない”“お金が入らない”といった、客からのクレームに2人の店員さんが常に対応していました」

 それどころか、

「最近になって新たに2名が追加され、レジへの入り口側に立って、客を誘導しています。結局、計4人でセルフレジ周りを見ているんです。人件費も余計にかかっているし、導入の意味があったのかと思ってしまいますね」

 全国大手スーパーチェーンの担当者が続ける。

「セルフレジ導入の可否については、各店舗の店長に任せていますが、通常のレジより割高ですし、導入にあたっては、店休日を作った上での大規模な工事も必要。さらに仰る通り、万引き防止、そして操作説明のために常時数人でセルフレジを見ていないといけないんですよね」

■体調不良で
 さらには、こんな問題も。

「高齢者が多く住んでいる街の店舗で導入したところ、お客さんは操作方法を覚えるのが面倒なのか、有人レジに長い列を作ってしまうんです。場所によっては、せっかく導入したセルフレジの列だけがガラガラ状態に。導入に慎重な店舗が多いのも理解できます」

 さて、件の張り紙を出したスーパー「バロー北浜田店」では、どのような理由でセルフレジを封鎖したのか――。担当者に訊いてみた。

――なぜセルフレジ封鎖となってしまったのでしょうか。

「セルフレジを監督できる従業員が体調不良で倒れてしまったのです。(セルフレジを)稼働させているといろいろな不備が出ますが、その対応もなかなか難しく。まずレジを開ける(起動させる)のにも技術が必要でして、その人じゃないとできないということもあって、封鎖させてもらいました」