「徹也と私に謝って」山上妹37歳は母に泣いた

 父は自死し、母は信仰に嵌まり込んで度々韓国へ。長兄も自ら命を絶ち、山上容疑者の苦悩を分かち合える唯一の存在が4つ下の妹だ。兄に漫画本を差し入れ、母のコメント案に感想を述べる彼女の胸に去来する思いとは――。

▶7月8日 妹は現場近くで銃声を聞いていた
▶母の謝罪コメント案に「保身的じゃない?」
▶伯父の援助で「化粧品を買えるようになった」
▶どん底の妹を救った「職場の励まし」電話

 銃声は、今もあの日現場周辺にいた者たちの耳底に留まっている。

 7月8日、午前11時30分。近鉄大和西大寺駅前は安倍晋三元首相の応援演説を聞こうと集まった人々が群れを成していた。駅前の雑居ビルにあるパソコン教室にいた彼女は、その熱気を肌で感じながら講義に集中する。その刹那、地鳴りのような轟音が2度響いた。

 山上徹也(41)が安倍元首相を銃撃して間もなく、妹のB子さん(37)の携帯電話が鳴った。大阪府内に住む元弁護士の伯父が電話口で「今すぐタクシーに乗れ」と告げる。事件を知った伯父が彼女の身を案じ、自宅で匿うことを決意したのだ。

「事件が起こった時間帯、あの子は駅前のパソコン教室で勉強しとった。安倍さんが演説をしていた北口からの、ドーンいう銃声を聞いとるんや。彼女は南口からタクシーに飛び乗り、奈良市内の実家で母・A子を拾い、そのままうちにやってきたんや」(伯父)

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