雨上がりの夜空の下、村上に50号を打たれた大野雄がうなだれる。ある意味では象徴的な光景だった。

 このチームの低迷の本質は、ビジターゲームではなく屋外球場の弱さにある。開幕前にそう書いた。昨季はドーム球場42勝39敗11分けに対して、屋外では13勝32敗6分け。得点力の低さは屋根の有無でほとんど変わっておらず、原因は防御率の悪化(ドーム2・78、屋外4・07)にあった。

 竜にとって長年の宿題を、今季も解消することはできなかった。横浜、神宮と続く戦いで早々に4連敗。これで12勝28敗1分けとなった。ドーム球場では今季も勝ち越し(40勝38敗)。そして得点力(ドーム2・86、屋外2・80)は低いながら安定しており、やはり防御率(3・13、4・01)が外に出れば悪化するのが原因だろう。

 冒頭に象徴的と書いたのは、大野雄が屋外で勝てないからだ。2020年9月30日に甲子園で完封したのを最後に、何と12戦勝ちなしの8連敗。その中には8イニングと7イニング無失点があるから、苦手だと書けば彼は不本意かもしれないが、この3年で挙げた24勝のうち18勝が本拠地。少なくとも屋外は得意ではない。

 エースがこれでは困る。これから育ってくる若手がそうなるのは、もっと困る。前日のように雨が降ればマウンドはぬかるむ。暑さにスタミナを削られ、寒さに指先がかじかみ、風にいら立つこともあるだろう。しかし、誰もがお日さまの下でボールを追い掛けてうまくなったはずだ。プロに入りキャリアを積むうちに、気が付いたら屋外でのパフォーマンスが低下していることになる。

 得点できないのは問題だが、失点が増えているのがより大きな問題だ。全ての借金は屋外でつくられている。それは決して偶然ではない。僕が言えるのはここまでだ。どこかにヒントと理由がある。それを考えるのがプロの仕事。克服できなければ、来季以降も苦戦は続くことになる。
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>そして得点力(ドーム2・86、屋外2・80)は低いながら安定しており、

ここすき