東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会スポンサーに選定されるよう便宜を図った見返りに
出版大手のKADOKAWAから約7600万円の賄賂を受け取った疑いが強まり、
東京地検特捜部は6日、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)を受託収賄容疑で再逮捕した。

KADOKAWA専務だった芳原世幸(64)、同社担当室長だった馬庭教二(63)の両容疑者を贈賄容疑で逮捕。
高橋元理事の知人の会社役員、深見和政容疑者(73)を受託収賄容疑で逮捕した。
特捜部は6日、東京都千代田区のKADOKAWA本社を家宅捜索した。
関係者によると、KADOKAWAは大会スポンサー契約を希望し、高橋元理事の知人に相談した。
知人を通じ同社の意向を把握した高橋元理事は、出版分野のスポンサー枠を新設するよう
組織委やスポンサー募集業務を担っていた電通へ働きかけたという。

KADOKAWAは2019年4月に組織委と約2億円でスポンサー契約を結んだ。
同社からは翌月以降、知人側に10回にわたり計7000万円超が送金され、
一部が高橋元理事側に渡ったという。特捜部は資金提供が賄賂にあたると判断したとみられる。

特捜部は既に同社の角川歴彦会長らから任意で事情を聴いた。角川会長は5日、取材に応じ「高橋元理事に賄賂を渡した認識は全くない」と不正を否定。知人側への資金提供については「スポーツ全般のコンサルタント料だった」と説明した。

特捜部は8月、スポンサー契約で便宜を図る見返りにAOKIホールディングスから計5100万円の賄賂を受け取ったとして高橋元理事を受託収賄容疑で逮捕した。勾留期限の6日、同罪で起訴した。