ミャンマー国軍が30年以上例がない死刑を不意打ち執行、人気歌手の遺志継ぐ潜伏妻「戦い抜く」 挙式1カ月前に逮捕、日本の国軍留学生受け入れを批判
https://news.yahoo.co.jp/articles/93bcf726cad962efe9c8885b8cd72b3165820993

 クーデター後の混乱が続くミャンマーで7月23日、民主活動家ら4人の死刑が執行された。ミャンマーで死刑は30年以上執行例がなく、国際社会の制止を無視し、国軍が強行した。ピョーゼヤートー元下院議員(41)は4人のうちの1人だ。人気ヒップホップ歌手から政治家に転身し、民主化指導者アウンサンスーチー氏(収監中)の側近だった。国軍を非難する声が世界で広がる中、妻タジンニュンアウンさん(39)が潜伏先からオンラインインタビューに応じた。

 国軍はピョーゼヤートーさんの遺骨や遺灰を返還していない。タジンニュンアウンさんは「国軍に逆らえばどうなるか分からせるため」の見せしめだと憤る。それでも夫の遺志を継ぎ「国軍打倒まで戦い抜く」と決意は固い。ミャンマーを巡る日本政府の対応について尋ねると、防衛省が国軍からの留学生を受け入れ続けていることを批判した。

 ▽音楽活動再開もクーデターで暗転

 ピョーゼヤートーさんはミャンマーのヒットチャートで1位を獲得したこともあり、政治的メッセージに富んだ歌詞で人気を呼んだ。2012年の補選でアウンサンスーチー氏の国民民主連盟(NLD)から出馬して下院議員に初当選した。
 
タジンニュンアウンさんもヒップホップ歌手だ。2人は2019年に交際を始め、1年後に結婚したものの、忙しくて結婚式は挙げなかった。「夫はこの国を良くしたいという気持ちにあふれていた」。タジンニュンアウンさんにとりピョーゼヤートーさんは尊敬の対象であり、音楽を通じてミャンマーに民主主義を定着させようと取り組む同志でもあった。

 ピョーゼヤートーさんは2020年の総選挙には立候補せず政界を引退し、音楽活動を再開する予定だった。しかし2021年2月1日、国軍がクーデターを起こし、全てが暗転した。