>>215
龍二が帰ってくるのを見計らって、化粧もせず、部屋を暗くして、ソファにぼーっと座って。龍二にこう言ってやったんです。
「そんなふらふら職にもつかず、なんのために、おまえを育てたのか。かあさん、もう死ぬけん。私はやるときは、やるから。死んでから後悔しても遅いぞ」
そんな出来事から10日ほどたったころでしょうか。龍二が突然言うんです。
「千代の富士に電話をしてくれ」
どうして千代の富士か、わからない。たぶん、当時、いちばん人気があったからでしょうか。単純なんですよ。