一方、名実ともに大学球界最高峰の慶應大学でも、コロナの影響は顕著にあるという。慶應にはスポーツ推薦がなく、一般受験かAO入試で合格しなければならない。自身も卒業生で、昨冬から野球部を率いる堀井哲也監督が今年の“異変”を説明する。

「例年は慶應の合否が出るまで、スポーツ推薦の枠を空けて待つ大学があったと聞いています。でも今年の場合、うちの入試が終わる頃には、他大学のスポーツ推薦の枠は埋まっているようです。例年なら、受験の準備のキツさで進路変更するという選択肢があったけれど、今年は『受ける以上は浪人も覚悟しないと』という傾向が、いつもより強くなったようです」

 ちなみにAO入試では高校野球の実績も判断材料になるが、過去の栄光だけで合否が決まるわけではない。堀井監督が続ける。

「AO入試は、『あなたは高校時代に何をしてきて、大学でどう勉強するのか。それを将来にどうやってつなげるのか』という試験です。例えば『将来160キロを投げるために慶應でいろんなデータをとって勉強します。自分の夢は、大リーガーに負けないようなボールを第一人者として投げることです』という目標がストーリーとしてあれば、高校までの野球の実績はすごく大きい。でも、『自分は高校で何本ホームランを打ちました。慶應で野球をやりたいです』というのでは、教授は『君は慶應に何をしに来るのかな?』となるんです」

 見極められるのは、野球を通じて何を身につけ、今後何を成し遂げていくのかだ。そうした道が明確に描け、かつ学業的にも一定レベルに達して初めて合格できる。
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慶應のAO