給食の「犬食い」を命令された小学生時代
 鈴香受刑囚は小学2年生の時に担任教諭に「水子の霊がついている」と言われてから、「心霊写真」というあだ名で呼ばれるようになった。給食を時間通りに食べられずに、教諭の命令で手の上に乗せて犬食いをさせられるようになった4年生からは、手からポロポロ食べ物が零れ落ちる様子をからかわれ「ばい菌」といじめられた。父親が暴力を振るう家庭で育った鈴香受刑囚にとって、食事とは恐怖の場だったのです。それを教諭にも告げられず、黙って犬食いを強いられたのも、暴力やいじめは自分が我慢してやり過ごすしかないと思う環境で育ったからです。だから、作文の供述調書にも指印を簡単に押してしまうし、弁護士に怒られるからと、指印を押したことを打ち明けられなかったのです。
そうして育った彼女には、不自然さが際立つ性格が形成されていった。事故で処理されたことへの不満で彩香ちゃん事件の捜査を求めるチラシを作ったり、1審の最後に豪憲君の家族に土下座したように、時に奇異な行動を起こすのです。類似事件が起きれば、彩香ちゃんの事件の捜査もしてくれるだろうという単純な発想で豪憲君に手をかけたのです。

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