とはいえ。
時代の風雪に耐えて生き残った選りすぐりの名作タイトル群に、われわれ凡人がおよぶはずもなく。
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。

二度見ならぬ二度聞きしてもらえたタイトルですが、アバター+桃太郎≒暴太郎とか、どんぶらこ≒ドン+ブラザー(の複数形)とか、説明を聞けば「なるほどね」と腑に落ちてしまう時点で、どんな説明をも拒絶する桃太郎センパイの背中は遠いわけです。
せめて、大先達たちにあやかりたい──と、『花咲かじじい』をもじって『はなたかえれじい』(ドン20話)とか、サブタイトルをひねってみたり。

いつかやれる日が来たら……と、ひそかにねらってたのは、「ここ掘れワンワン」をもじった『かおバレわんわん』(もしくは『おかぼれワンワン』)。
「ここ掘れワンワン」はタイトルではなくて、『花咲かじじい』に登場するセリフ(鳴き声?)ですが、一生心に残るであろう名ゼリフ。
はたして、本当にその日が来たのか?!
それは、OA を確認していただくとして……

昔話が生き残ったのは、おもしろネーミングにとどまらず、お話もおもしろいから。

説明不能だから惹かれる。理屈に合わないからおもしろい。

そこにこそ、物語の本質があるのかも。
でも、それって、近年のドラマのつくりかたとは真逆の方向性だったりもします。


『桃太郎』が新作の企画だったら?

「桃から人が生まれる理由は?」
「鬼退治に行く動機の描写が不十分」
「イヌ・サル・キジでは戦力にならない」

総攻撃を食らって槍ぶすま。ソノザ編集長ならずとも、速攻でボツでしょう。
が、その域にまで至らないと、本当のおもしろさには到達できないのかもしれません。
ドンブラザーズ、どこまで行けるか!

(文責・白倉 伸一郎)